職人気質の父親の味と、家族連れを意識したメニューの変化

昭和48年に父親が佐賀競馬場の3階特別観覧席の食堂としてオープンしました。当時は、競馬場ということで、来場者にとっての縁起をかついで「勝屋」という名前でやっていました。そこで2年くらい営業したのち、国道34号線沿いのこの場所に移転し、平成6年まで「かちや食堂」として食堂スタイルで店を続けてきました。幹線上のファミレスやファストフードが増える中で、国道沿いの食堂スタイルは厳しくなってきて、今の居酒屋スタイルに転換しました。
味には自信を持っている職人気質の父親ですが、歳を取ってきたので夜のこの仕事が厳しくなり、6年前にわたしがお店を引き継ぎました。あるときは喧嘩をしながら、あるときは我慢もしながら2年くらいかけて味や作り方を受け継ぎました。今は、昼は別の仕事をしている主人と娘に手伝ってもらいながら、お店を切り盛りしています。焼き鳥は一本一本串に刺して、丁寧な仕込みには気を付けています。また、父親時代からの常連さんだけでなく、若い人や子ども連れも増えてきたので、カクテルなどのドリンクや子どもが食べたくなるメニューも増やしてきました。

家庭の味ではないですが、一生懸命手抜きをしない料理を提供する

メインメニューは焼鳥ですが、父親が居酒屋に業態を変えるとき、鳥栖の名店「信玄」で焼鳥のいろはを学び、それがベースになっています。昔から同じお肉屋さんから仕入れていて、一本一本丁寧に串に刺し、美味しい焼き加減で提供しています。串に刺さった出来合いの食材を使っている居酒屋もあると思いますが、それは食べるとすぐにわかってしまいます。やっぱり豚バラ、鳥皮が人気で、久留米に近いことからダルムを出しているのも特長で、家庭の味ではないですが一生懸命手抜きをしない料理を作っています。
常連さんは、地元みやきだけでなく、久留米や吉野ケ里からも来てくれて、若い人や子ども連れも増えてきたように思います。あと、最近は日本酒にも凝り始め、鳥栖の原岡酒店さんとひょんなことからつながり、みやき町の天吹酒蔵など佐賀の地酒も提供するようになりました。

家族の支えとお客さんの声がかちやのパワーの源です

まだまだ後継者を考える歳ではないと思っていますが、もし後継者を考えるとすればやはり家族に継いでもらいたいと思っています。子どもたちは4人いて、上の子たちは別の仕事をしていますが、忙しいときなど手伝ってくれています。わたしももともとは別の仕事をしていましたので、子どもたちがお店を継ぎたいとなったときは、悩みなどは共感できるんじゃないかなと思います。父親もセミリタイヤしたとはいえ、繁忙期には焼き場などに立っているので家族の支えがあってのお店ですね。
この前、2回続けて予約を入れれなかったお客さんから「やっとこの店に来れました。美味しくて本当によかった。」と声をかけてもらい、お客さんがいての商売だなとつくづく感じることができました。あと、佐賀競馬場時代にゆかりのある調教師の息子さんで、JRAの騎手の方が来られたこともありました。父親が始めたお店が48年も続いているんだなと感じた瞬間でもありました。

住所:三養基郡みやき町簑原764
電話:0942-94-3149
営業時間:17:00~23:00
休み:火曜日
駐車場:4台