45年前の基山モール誕生から続く、コクありちゃんぽんの名店モール商店街の歴史と共に、初代店主だった母の味を今につなぐ

昭和49年に国道3号線より東側にある自宅で、母親が脱サラし、味処さくまを開きました。その3年後、国鉄基山駅前に当時は珍しい「基山モール商店街」が誕生することになり、この場所へと移転し、今につながっています。母は、鳥栖市田代にあった食堂でちゃんぽんの味を習い、今の味を完成させました。私は、そんな母をお店オープン時から手伝う形で、料理づくりを作り始めました。修行というよりも、直接お客さんへの実践でいろいろな料理を覚えていったかたちです。当時、このようなモール型の商店街は新しいスタイルということで、全国の自治体からたくさんの視察が訪れていたことを覚えています。
商店街の真ん中に2階建てのユニードダイエーがあり、たくさん買物客が昼も夜もごはんを食べに来てくれました。信じられないと思いますが、この店の広さで多いときは従業員が8人もいて、そのうち3人が出前担当という時代もあったんです。町内にあった工場に、よくメニューを運んでいました。土曜夜市も定期的に開催していて、近隣から多くの人が遊びに来ていました。商店街に訪れるお客さんが少なくなったのは時代の流れなのかもしれませんが、今もこのちゃんぽんの味を求めてリピーターが多いのはうれしいことです。

基山町内の商店から食材を購入し、ちゃんぽんを作っています

創業時から続けているちゃんぽんは、この店の一番人気、看板メニューです。お肉は地元のジェイフーズから、野菜も的野青果店、ちゃんぽん麺もきやま製麺から取っていて、食材の生産地ではないけれど実は基山ちゃんぽんなんです。毎朝、豚骨からしっかりとスープを取り、こだわりというわけではないけれど、的野さんが持ってこられる美味しい野菜の素材を活かし、シャキシャキの食感に炒めることを心がけています。濃い目の味が苦手という人には、あっさりめの和風ちゃんぽんや焼ちゃんぽんも注文の多いメニューです。
基山や鳥栖に来た営業マンや工事関係者のほか、昔ながらの地元のお客さんからもよく注文され、先日は長崎出身のライターさんが来られて「長崎のちゃんぽんにも引けを取らない」と言われ、とてもうれしかったです。ちゃんぽんのほかは、数量限定で日替わり定食を出していて、今日のおかずは何かを楽しみに毎日来られる地元会社員の方も多いです。

ちゃんぽんの味は教えても良い、基山が盛り上がってくれれば

30代の息子が二人いますが、絶対に継いでほしいとはいえないです。最近はコロナもあり、田舎での食堂の経営はさらに厳しい時代になっています。お店が忙しいのなら、息子たちにもぜひやってもらいたいと思います。もし、ちゃんぽんの味を学びたいという人がいれば、教えることはできます。かつてのモール商店街のようにはいかないと思いますが、やっぱり自分たちが住む基山町が盛り上がってほしいと願っています。

住所:三養基郡基山町宮浦186-52
電話:0942-92-6809
営業時間:10:00~18:00
休み:日曜日
駐車場:基山モール駐車場