当店の前身は、ママさんが切り盛りする大人が通うＪＡＺＺ喫茶でした。当時、バローネのナポリタンは有名でした。実は私もよくこのお店に通っていた常連客だったんです。そんな折、約４２年前にお店が入っているビルの建て替えが行われることになり、ママさんと一緒に新しくお店を始めることになりました。店名はそのままで、お酒がメインのイタリアンバルから始まり、現在のパスタ店に至りました。店内のインテリアにもこだわりが詰まっています。宮大工さんに内装工事を依頼し、柱や梁、壁などは職人さんの手仕事で全て引き出されたものです。
今でこそ「地中海風の壁」と言えばイメージされる方もおられると思いますが、当時は自分でもそんな事は思いもしていませんでした。オシャレなインテリアが出来上がり、自慢のポイントでもあります。内装も評判となり職人技を見るために、若い大工さんや左官さんがよく見に来られていたのを覚えています。また当店には、カップルのお客様や大人の時間を大切にされたいお客様が多くご来店されています。そんなわけで、「バローネは子どもの出入り禁止」は有名な話です。(笑)

元々私は、ちゃんぽんやうどん、定食などを提供するお店を営んでいました。しかし、パスタの知識はなく、今のようにインターネットやレシピ本も十分になかった時代に、独学でパスタ作りを行っていました。自分で納得できる美味しいパスタをご提供できるように、日々研究を積み重ねています。食材の仕入れにはこだわっており、できる限りオーガニックなものや地元産の野菜を仕入れたいと思っています。そのため、なじみのお店へ出掛けて、自分の目で見て確かめて仕入れるようにしています。最近では生産者さんのお名前が表記されていたりするので、美味しかった野菜の生産者さんを覚えておいて、その方の育てた野菜を買うようにしたりしています。
パスタは、自家製ジェノベーゼソースのバジリコ、唐津くん煙工房さんのベーコンを使用したカルボナーラ、他にもボロネーゼやボンゴレ、塩豚とキャベツのペペロンチーノ等があります。白神こだま酵母と北海道産小麦粉を使用したピッツァ生地のマルゲリータやベーコンピッツァもご好評いただいております。また、夏場だけの限定メニュー、オリジナルのスパイスカレーは、毎年楽しみにしてくださっているお客様もおられます。

これまでパスタ作りは私の独学でやってきたこともあり、なかなか再現するには難しいレシピになっていると思います。ソースは全て手作りで仕込みに時間がかかるのですが、その分、しっかり旨味を引き出すコツが満載のレシピです。後を任せられるような信頼できる方に出会うことができればラッキーだとは思いますが、新しくスタッフを入れたり、レシピをお教えするのに十分なスペースを確保できないのが現状です。
ここは、先代のママさんとも一緒にやってきた思い入れのあるお店なので、メニューを減らすなど工夫しながらも、自分がやれる限界まで続けていきたいと思っております。何より、お客様が喜んでくださる笑顔が大好きですし、「美味しかった～。」とパスタを残さず食べていただけることにやりがいを感じており、まだまだ私自身で頑張っていきたいです。