有田は焼き物だけじゃない。100年経ってもなお愛される陶助おこし

「陶助おこし」の原点は、朝鮮からきた陶工さんから伝わったおこしからヒントを得て雪竹藤助さんという方が作られたおこしです。当時は「白磁おこし」の名前で、有田陶器市の前身となる有田焼の品評会に来られたお客様に振舞われていたと聞いています。藤助さんには跡継ぎがおられなかったため、おこしの作り方は私の祖母と地域の数名のみに伝承され、代々受け継いで作ってきました。藤助さんの頃から考えると100年以上の歴史があります。私は、45年程前から父が営む有限会社寿食品という麺類や総菜等の製造の会社を手伝っていました。
その後、陶助おこし本舗と合わせ、会社を引き継ぎました。その時に雪竹藤助さんのお名前と有田の陶器にちなんで、「陶助おこし」とおこしの名称を変更しました。今ではこのおこしは当店のみが作っておりますが、地元のお客様や周りの支えがあり、今までやってこれたと思います。夫婦二人で手作りしているため、大量生産できないこともあり、宣伝等をほとんどしておりません。一度食べた方がファンになって口コミで広めていただいたり、「有田は焼物だけじゃないもんね~。」と言ってもらえたりと、とても嬉しいです。

知る人ぞ知る、有田で代々受け継がれる門外不出の秘伝の製法でつくるおこし

「陶助おこし」は、硬い歯ごたえのおこしのイメージを覆す、柔らかな食感のおこしです。もち米をついて作ったお餅をあられにし、炒ったものに、生の生姜を混ぜ、水あめを絡めて固めております。生の生姜をすりおろして混ぜ込んでいるのがこのおこしのポイントです。初めて食べた方からは「こんなおこし食べたことない!」「初めての食感!」と大変驚いていただくことが多いです。雪竹藤助さんから伝承したおこしの製法は門外不出の秘伝となっています。添加物は一切入っていませんので、お子さんからお年寄りまで食べていただけるかと思います。
また、ゴールデンウイークの有田陶器市では10,000個、秋の陶磁器まつりでは5,000個ほど販売しています。毎年来られるお客様がリピーターになっていただき、バスを降りて真っ先に買いにきてくださったりと、たくさんのお客様にご愛顧いただいております。大量生産が難しかったり、気温や湿度のちょっとした変化で食感が変わってしまったりするので、店頭での販売がメインです。ご要望があれば、お電話でのご注文も受け付けており、発送も行っております。

この味を大切に守りながら、孫たちが大きくなるまでは夫婦二人で頑張っていきたい

「有田生まれ、有田育ち」の陶助おこしを愛していただき、今回の後世に残したい店として選んでもらえて、とても有難いです。雪竹藤助さんからの門外不出の製法を伝承しており、現在は私たちしかその製法を知っている者はおりません。前田家以外の者に製法を教えることができないので、親族の誰かが継がない限りはこのおこしを残すことは出来ません。子どもたちは別の仕事をしていますが、小学生と中学生の孫たちが、「あとは僕たちに任せて!」「絶対これは続けんばいかん!」と言ってくれていて、とても頼もしく、嬉しい限りです。
普段から、陶助おこしをご愛顧いただいているお客様がたくさんおられますので、まずは受け継いできたこの味を大切に守っていきたいと思っております。孫たちが大きくなってこの味を引き継げるときまで、夫婦二人で頑張っていきたいです。

住所:佐賀県西松浦郡有田町泉山1-16-13
電話:0955-42-4411
営業時間:平日8時から11時、14時から16時
営業時間:土日祝8時から18時
休み:年中無休
駐車場:普通車3台(近隣に無料観光駐車場あり)