鮮魚からはじまり、魚屋としての未来の鍵を握る”商品”を

約90年前、私の祖父の福太郎さんが唐津市大石町の恵比寿さんの前で魚を売り始めたのがはじまりです。その後唐津市水主町のストアで鮮魚店をやっていましたが、ストアの閉店をきっかけに現在の唐津市東町で店を開きました。私は20代のときは違う仕事をしていたのですが、結婚を機に唐津市に戻ってきて、店を手伝っていました。一時期、店の方は家族に任せながら、商社で働いて海外で仕事をしていたこともあります。
その時の経験や人との出会いが今に活きている気がします。家が魚屋ですが、子どものころから生臭いのが嫌いでした。それが、現在の商品へのルーツかもしれません。魚の生臭さを取る処理を行い、皆さんに美味しく召し上がっていただける商品づくりを行っています。よく「魚屋さんらしくない」とも言われますが、魚を魚のまま販売するのではなく「商品化」してから販売するオンリーワンの魚屋さんとしてやっているのが楽しいです。

敢えてお客様のひと手間を残す。楽しみを奪わない創意工夫

贈答品としてご利用いただくことが多く、リピーターのお客様も多いです。有難いことに、贈られた側のお客様にも当店を知っていただき、またご購入いただくという嬉しいループに繋がっています。当店の商品で心掛けていることは、「ひと手間だけ残した商品」ということです。御塩ものや天日干し、御醤油に漬けた御醤油ものは「焼く」、鍋に入れるだけの状態に下処理を施した玄界灘の厳選魚介は「煮る」、御刺身の漬けの胡麻刺や柚・紫蘇・辛子を使用した和めんたいは「盛る」という風に、時短ばかりを考えるのではなく、あえてひと手間かけて料理の楽しみを感じながら、美味しく楽しく召し上がっていただけたらと思います。
また、御塩はオーストラリアの大自然の岩塩を手炒りで焙煎しています。御醤油ものは唐津の地醤油をベースに作った当店自家製たれに付け込んでいます。干しものというと、冷蔵庫が無かった時代から保存が利くようにとカラカラにしたものが一般的ですが、当店の干しものは生に近い状態で仕上げています。

3代続いた魚屋さん。これからもたくさんのお客様に食べていただきたい。

当店は私で3代目です。息子や娘がいますが、この先はまだわかりません。店内の絵や、お取り寄せや贈答品に同封しているお客様に合わせたデザインのご案内カード等は娘が担当してくれています。また、SNS等での発信もやってくれています。関係先から当店を継ぎたいとか、ブランド化しようというお声を頂くこともありますが、たくさんの方に当店の商品を食べていただきたいと考えているので、現在のところは考えていません。
町の魚屋ではなく、スーパーで魚を購入する方が多い時代ですので、当店は一捻りある魚屋としてやっていきたいと思っています。また、個人で世界を相手にできる時代でもあると思います。今回、後世に残したい店に選んでいただき、素直にうれしいですし、日ごろからご利用いただいているお客様には感謝の気持ちでいっぱいです。

住所:佐賀県唐津市東町58-5
電話:0955-73-1347
営業時間:9:30~18:30
休み:日曜、祝日
駐車場:無