看板娘から看板娘へ。代々受け継がれてきた銭湯の歴史

昨年、銭湯について研究されている教授の方から調べていただいたことにより、恵びす湯が創業したのは大正11年ということが判明しました。今年で創業100周年です。
私は昭和45年、22歳のときに結婚して、ここに嫁いできました。義父母が恵びす湯を経営しており、私も銭湯の手伝いをしてきました。いつも義母と一緒に店番をしたり出掛けたりしていたので、常連さんからも本当の娘だと思われて、お嫁さんではなく「娘さん」と呼ばれていました。
今では、私の息子のお嫁さんが手伝ってくれていて、同じように娘さんと呼ばれていて、嬉しく思います。昔は家にお風呂がなかったので、銭湯がたくさんありましたし、15時~23時まで営業して、たくさんのお客様で賑わっていました。
。しかし、家のお風呂ができたことによってお客様が減って、銭湯は次々に廃業し、今では恵びす湯が佐賀県唯一の銭湯になりました。現在は、毎日来てくださる常連さんや、銭湯を巡っている方など、色んなお客様にご利用いただいています。

全国最安値ながら、お客様に喜んでいただきたくてアメニティは無料で貸出し

銭湯はお家にお風呂がない方にとっては生活必需品であり、公衆浴場法に基づく「一般公衆浴場」なので、国民生活安定緊急措置法の規定により、公衆浴場入浴料金の統制額が指定されています。
料金は平成8年から据え置きで、全国最安値です。一般入浴料は12歳以上が280円、6歳以上12歳未満が130円、6歳未満が80円で、別途洗髪料というものがあって入浴料プラス50円です。洗髪料は昔は全国で設定されていましたが、現在は佐賀県だけに残っており、髪を洗う場合に必要で、昔は毎日髪を洗わずに、お湯に浸かるだけの利用も多かったので、このような設定になっています。
他県では洗髪料の廃止に合わせて入浴料金の値上げをされたところもありますが、佐賀県は据え置きました。
また、シャンプー、石鹸、タオルの貸出も本来は料金設定をしていたのですが、今は無料でサービスしています。お客様に喜んでいただきたくて、タオルはふわふわでいい香りになる洗剤を使っています。

奉仕の精神で、できるところまで頑張りたい

全国最安値の入浴料で営業し続けるのは、何もしないよりはしたほうがいいし、利用してくださるお客様がいらっしゃるので、いわゆる「奉仕の精神」でやっています。
現在、息子のお嫁さんが午前中だけ他所で務めて、午後からは銭湯の仕事を手伝ってくれてはいますが、自分ができる間はできるところまで営業するつもりで、家族には「もういいよ。」と伝えています。
設備が古いので、色んなところが故障して、日々修繕しながら営業しています。もしも銭湯の部分を借りて継ぎたいという方がいらっしゃった場合は、機械や配管の総入れ替えが必要だと思います。また重油高が深刻で、燃料代がものすごくかかっています。
今は昔のままの設備なので、新しいお湯を使用していますが、追い炊きの機能をつけたほうがいいかもしれません。サウナがあったらいいなぁなんて考えたこともありました。

住所:佐賀県唐津市大石町2532
電話:0955-72-4761
営業時間:17:00~20:00
休み:日曜日
駐車場:7台