創業は昭和４３年です。当時２３歳で別の仕事をしていましたが、父が亡くなり、生活のために専業主婦だった母と二人でお店を始めました。当時はまだ弟が中学生だったこともあり、ただただ必死で頑張っていました。当初、何のお店にしようか迷いましたが、「まんじゅうの製造・販売なら女性２人でできるんじゃないか。」と、当時お世話してくださった方がアイディアを出してくれて、まんじゅうの製造・販売をすることになりました。お店の名前の由来はよく聞かれるのですが、そのお世話してくださった方が「一回聞くと忘れない名前がいい。」と、「甲子園饅頭」とつけてくれました。
母が亡くなってからは、甥っ子と一緒に店をやっています。朝早くから甥っ子がまんじゅうを作ってくれて助かっています。まだまだ体も元気で、若さの秘訣は肉まんの湯気を毎日浴びているからですかね。
「まんじゅうの計算ができなくなったらやめようかな。」なんて、いつも常連さんに冗談を言っています。

開店当時、まんじゅう作りは初めてで、知識がなかったので、まんじゅう職人さんに来ていただいて講習を受けました。職人さんから教えていただいたレシピを今でも忠実に守っています。メニューはシンプルに４種類です。肉まん・あんまん・大島まんじゅう・玉子ケーキを毎日手作りで作っています。やはり冬場は特にほかほかのあったかい肉まんが大人気です。肉まんの餡でこだっている部分は玉ねぎです。柔らかくて甘い佐賀県産の玉ねぎを使用しています。あんまんと大島まんじゅうに使用するあんこは、当店で練っています。毎日生餡と小豆を合わせて、昔ながらの餡練り機で練ったオリジナルの餡です。
夏場には、例年７月頃から始める季節限定のかき氷が人気です。普段はまんじゅうのテイクアウト専門なので、お店の中では召し上がっていただいておりませんが、かき氷の時はお店の中でくつろぎながら召し上がっていただいています。もちろん、かき氷もテイクアウトしていただけます。

開店当初は年齢が近かった、店のすぐ近くの牛津高校の生徒さんたちが親になって、子どもや孫を連れてまた来てくれることもあり、とても嬉しくて、その度に頑張らないといけないなと思います。今まで商売ができたのもお客様のおかげで、とても感謝しています。いつも来ていただいているお客様から「おばちゃん、お店ずっと続けてね。」と言っていただくこともあります。
今回、こうして後世に残したい店として当店が選ばれて、とてもうれしいです。ずっと母と二人でやってきたので、このことを天国の母が聞いたらきっと喜ぶと思います。今は甥っ子が手伝ってくれているので、２人でやっていますが、1人では作業内容的に厳しいものがあると思います。
後継者については、現状は成り行きに任せようと思います。私自身まだまだ元気なので、「一日一日を大切に」と思いながら、まんじゅうの計算ができなくなるまでは続けていきたいです。