築100年近いモダンな木造家屋で、古き良き唐津にどっぷりと浸る

ウチの先祖はもともと、今と同じ「竹屋」の屋号のもと、刀研ぎや鞘の細工などを生業としていた一族だったそうです。ですが明治時代になり廃刀令が出ると商売が立ち行かなくなり、料理屋に転向。松浦川で獲れたうなぎを出していたところ評判となったため、1877(明治10)年頃からうなぎ料理の専門店として営業を始めました。
当時の建物は平家だったのですが、1923(大正12)年に3階建ての店に建て替え、今に至ります。文化庁の登録有形文化財にも指定される風情のある木造建築で、大林宣彦監督の映画「花筐」の撮影でも使っていただきました。
うなぎ屋としての創業者は曽祖父の大木小五郎です。3代目に当たる父は2年前に鬼籍に入りましたが、現在は父の世代と私たち4代目に当たる世代とから成る大きな家族で店を切り回しています。

皮はカリッと香ばしく、身はふわふわ。箸が止まらない絶妙な味わい

当店では「変わらない」をモットーに、創業当時そのままの方法で、独自のタレの配合を守りながらうなぎを焼き上げています。蒸さずに腹開きして炭火で直焼きするので、カリッと香ばしく仕上がるんですよ。
素材となるうなぎだけは、時代とともに天然のものが激減して良質のうなぎを確保することが難しくなったため、南九州産の養殖ものに変えています。そのためかえって、一年を通して身が厚い質の安定したうなぎをお出しできるようになりました。
うなぎ定食や蒲焼き単品もありますが、ウチらしい品としてファンが多いのは、気軽に食べられる「うなぎ丼」ですね。ご飯にタレをかけているのではなく、ダシを潜らせることで米自体に味をしっかりと染み込ませているのが当店ならではです。米は佐賀産のコシヒカリ、茶には唐津茶を使用しています。上にのせるうなぎは4切れから6切れまで用意していますので、お腹の好き具合に合わせてお選びください。

身内から後継者が出なければ、スッパリと店を畳む覚悟です

代々一族で経営してきた店ですので、将来もし店を継ぎたいと考える若い親族が出てきたら、喜んで任せていきたいと思っています。ですが、決してこちらから強制したくはありません。私たちに遠慮せずに、まずは自分自身がやりたいことにチャレンジして欲しい。こちらとしては、自然な形で店に入ってくれる時が来るのを待つのみです。
当店を継ぐためにはうなぎのこと、調理のことはもちろん、唐津の歴史・文化のこと、お客様のこと、経営のことなどが自然と身についていなければなりません。料理や接客に関する適性も不可欠ですから、長年この場所に身を置いて店のあり方を見ながら育ってきた血縁の人間でないと、厳しいと思います。
未来がどうなるかは誰にも分かりませんが、もし後継を決意する身内が出てこなければ、時代の流れに抗わず潔く店を畳んだ方がいいと考えています。

住所:唐津市中町1884-2
電話:0955-73-3244
営業時間:11:30〜19:00(日曜・祝日18:30)
休み:水曜、第3木曜、年末年始
駐車場:なし