ドイツのロマンティック街道の雰囲気を感じさせる店内

増本一夫さん(68歳)

私は、京都の大学を卒業後、サラリーマンを経て飲食の世界に入りました。昼間はレストラン、夜は京都の祇園でバーテンダーとして働いた後、嵐山にある洋食と和食のお店に勤務しました。いずれ、自分で喫茶店を開きたいと、京都での開業を考えたこともありましたが、長男の私は地元での独立を決め、32歳の時に妻と唐津に帰ってきました。
唐津のレストランで約2年間働いた後、1988(昭和63)年に「珈琲 檸檬樹」をオープン。ドイツのロマンティック街道の雰囲気を感じさせる店にしたいと建物を新築しました。店内の壁にはお皿やカップを、2階への螺旋階段下にはドライフラワーを飾るなど、異国の雰囲気を感じることができます。
現在みたいにインターネットがない時代、2階の広い個室を利用して頂いた方や製薬会社の営業の方の訪問前の打ち合わせ場所として利用してもらいながら、口コミで少しずつお客さんが増えてきました。今ではSNSを見て来店したと言う若いお客さんや県外からも来店頂けるようになりました。

まかないをメニュー化した「スープピラフ」、ご当地カレー「唐ワン伽哩」も

増本一夫さん(68歳)

人気メニューのひとつ、「スープピラフ」(850円)はもともと賄いとして作っていたものを常連さんに提供して評判良かったことからメニューにしたもので、20年以上提供しています。スープはホワイトソース・トマトソース・コンソメの3種類。エビ・アサリなどの魚介ベースで、バターで炒めたご飯と一緒にあっさりと食べられます。
唐津のご当地カレーとして2011(平成23)年に提供を始めた「唐ワン伽哩」の「カレードリア」(900円)は、厚切りの食パンの中身をくり抜いて器にしてバターライスとキーマカレーを入れ、オーブンで焼き上げた新感覚のカレーで、辛さは控えめ、フタも一緒に食べられます。特に唐津を訪れた方に人気があります。「スープピラフ」や「カレードリア」は400円プラスすると、ミニサラダ、コーヒー・アイスコーヒー・紅茶・コーラなどのドリンクをセットにすることが出来ます。
「ハーブティー」(ホット・アイス、各550円)は、レモングラス&レモンバーム、ミックスミント、ローズ&ラベンダー、カモミール&ミックスミントの4種類があります。

店名やメニューをと考えず、建物を活用いただく 方がいれば 嬉しい

増本一夫さん(68歳)

現在も妻と一緒に営業しており、すぐに引退という訳ではなく、違う勤めをしている子どもたちが後継者になるという話にもなっていません。当店は唐津駅からも近く、思い入れのある建物なので、私たちが引退した後、この建物を活用してくださる方がいらっしゃれば嬉しいです。店名やメニューも引き継いでもらおうと考えると後継者にプレッシャーも出てくるのでは、と考えています。
新型コロナウイルス感染症の影響で、営業時間を短縮する期間があり、経営的には少し厳しくなりましたが、70歳近くになる私の体力を考えると気持ち的には楽になりました。これまで通りの営業時間に戻ったら体がついていかないかもしれません。
引退後、新たな方にこの店の建物を引き継いでもらえたら、家賃をいただきながらゆっくりとした老後を過ごしたいと思っています。

住所:唐津市新興町2936-7
電話:0955-73-4919
営業時間:10:00時〜20:00時
休み:月曜
駐車場:あり