未経験の3姉妹が手探りでオープン
北島文子(70)
飲食店経営未経験だった私が「お好み屋さんをやる」と決心してから約1年間、自宅でホットプレートを使い試行錯誤を繰り返しながらお好み焼きの調理練習を続けたあと、2人の妹とともに1986(昭和61)年5月21日に開店しました。
佐賀大学医学部前に立地している当店ですが、開店当初は付近には田んぼが広がり、今のような住宅地ではありませんでした。お客様は医学部の学生さんが中心で、中高校生も数多く来店してくれました。当時半休だった土曜日のランチタイムは、学生さんで賑わっていましたね。
大学病院に通院するご年配の方々に加え、住宅が立ち並ぶようになって以降は近隣のご家族連れの方々の来店が増えて、客層は幅広くなってきました。次第に、県外からも足を運んでくださる方も多くなりました。
時代を反映してか、最近はテイクアウトのご注文が増えました。道路沿いに店舗が位置し駐車場もありますので、気軽にお持ち帰りいただいています。
ここにしかない独自のお好み焼き
北島文子(70)
お好み焼き店と言えば「関西風」「広島風」に分かれるのが普通ですが、当店ではどちらにとらわれることなく独自の具材、調理、味付けを追求してきたので、あえて言うなら「花ちゃん風」ですね。あくまでも自分たちが美味しいと思う、文字通り私たちの「お好み」を反映したメニューを提供してきました。
開店当初から変わらない人気メニューは「豚玉」「いか玉」「えび玉」(各680円)で、それらをほどよく組み合わせた「ミックス玉」(880円)が定番です。お子様人気が高いのは「餅玉」(680円)ですね。
セットメニューでは、おにぎり、コーヒー、ミニミニお好み焼きの「なでしこセット」(750円)が、女性やご高齢の方に好評をいただいてます。
塩分を少なめにするなど小さな変化はありましたが、具材である野菜の量は変えることなく、お好み焼きの「ボリューム感」を維持してきました。「いつ来ても変わらぬ味」と常連さんに褒めていただくのがすごく嬉しく、私たちの励みになっています。
創意工夫が道を拓いていく
北島文子(70)
この地で開店以来、一度も移転することなく、3姉妹で力を合わせてお店を切り盛りしてきました。何度も壁にぶち当たりましたが、投げ出すことなく続けてこれました。困難な時こそ自棄にならず、淡々と日々のルーティーンをこなすことを心がけ、気がつけば35年の歳月をお客様と共に歩むことができました。
今のところ後継者はいません。もし今後、お好み焼き屋であれどうであれこの店舗を引き継ぐ方がいれば、日々創意工夫して他にない独自の店を目指してほしいと思います。それが私たちの長年の経験を踏まえた上で、お伝えしたいメッセージです。
住所:佐賀市鍋島4-6-1
電話:0952-32-2577
営業時間:11:00~21:00
休み:火曜
駐車場:あり