もともと近くに住んでいたためこの場所に店を開いたそうで、店名はシンプルに白石町の真ん中にあるから中央堂と名付けたと聞いています。現在、私で3代目となります。高校卒業後に上京してお菓子学校へ行き、それから実店舗で1年間修行しました。日本がバブル経済へ突き進む中での修行だったため、とにかく忙しく、朝早くから夜遅くまでひたすらせわしなく動き回っていました。とてもきつくて15キロ痩せたことには我ながら当時はびっくりしました。いまこの店舗のほかに、県内外のデパート等での販売、観光地へ出向いてお菓子の販売をしていますが、販売する地域によって売れるお菓子が極端に違うので面白いなと思います。
地元の直売所では副会長をするなど、日々地域の活性化に向けて試行錯誤しております。様々なことを経験しながらも、地域のお菓子の老舗として皆様によくご利用いただいている事は素直に嬉しいなと思う今日この頃です。

こだわりといえば、陳列を増やさないようにしております。これは中央堂で脈々と受け継がれているポリシーみたいなものです。極端に商品を増やしたりするのではなく、昔ながらの変わらぬ味を変わらぬ売り方で提供する、これが私たちのやり方です。仮に新しい商品を提供しようと思っても、自分で作ったものに納得しないと提供はしません。今作っている商品でもかなり奥が深く、人の手の大きさその日の気温や湿度のわずかな違い、そういったものをこれまでの経験と勘で見極めて味の安定化に努めています。
あるお客さんは「ふとここのそば饅頭を食べたくなる」と言われ足を運んでもらっており、そういった方たちの為にもこれからも弛まずお菓子を提供していきたいです。

親族に後継者はおりませんが、第三者の方でもいいかなとは思っています。しかし、修行には10年は必要だと思っています。後継者の事についても、こればかりはご縁でしょうから、仕方がない部分はあると思います。もし興味があればお店を覗いてくれればうれしいです。
日々、皆様に生かされているなと感じております。そして何より、食べることを楽しんでもらいたいです。自身の口でおいしいと感じるものを食べてください。そのおいしいと感じるものの中に 中央堂のお菓子があればうれしいです。