東から西へ。たどり着いたのは全く環境が異なる佐賀県。
私は国鉄に勤めていました。料理に対する気持ちは心のどこかにありまして、国鉄を辞めた後は東京・池袋にあったピザショップ、新宿のブルガリアレストランでの調理を経て、最終的に温泉で有名なここ嬉野に行きつきました。もともと妻のお母さんがこの店をやっていて、私も一緒に手伝っていましたが、どうせするなら店を継いでしっかりとやった方が良いのではないかと、本格的にこの道を進もうと決めました。働き始めた時に苦労したのは言葉でした。東北の出身なので九州の方言が聞き取れず、お客様も私が何を言っているかわからないということがありました。しかし、環境の変化にすぐ慣れていく性格でしたので、ほどなくして順応していきましたね。当時は1階のテーブル席と2階の団体席、そして出前もしていたため、文字通り目の回る忙しさでした。どうにか若さで乗り切っていました。それでもお客様はどんどん増えていくので、自分達の体力に合わせるように少しずつ出前を抑えて、1階のテーブル席のみで営業をするようになりました。昔も今も感覚的な忙しさは変わりません。
ただ焼いただけじゃない。こだわりの焼きちゃんぽん
焼きちゃんぽんは生麺から調理し、さらにそこから焼いていきます。焼くことによって麺が伸びづらくなるのと、もちっと、とろっと何とも言えない食感を出すことができます。具材は冷凍ものを扱っておらず、なるべく地元の食材で地産地消を意識しており、無駄なものを出さないようにサステナブルを意識しています。
サービスで出している旬の小鉢やお漬物は全て手作りでして、これを気に入る方もいらっしゃいます。数あるメニューの中でも揚げ豆腐定食、焼肉定食、オム丼、そして焼きちゃんぽんがよく出ているかなと思います。実はまた新しいメニューを思案しているので、楽しみにしておいてください。
ちなみに使用しているお皿の一部は大正時代のものです。本当に頑丈で壊れることなく今も現役です。県外からのお客さんも多いですが、最近は新幹線工事の人たちがよく来られます。また、1人旅の方も多く、若い方がふらっと1人で食べに来ることもあります。昭和時代の家電や家具を置いているので、そんな雰囲気が若い人たちには新鮮なようです。
これからはマイペースにお店をやっていきたい
後継者は、もしかしたら孫が後を継ぐ可能性も捨てきれませんが、苦労を知っているからこそなかなか勧めづらいなと思っています。こういったコンパクトでレトロなお店が好きであれば、第三者の方でも後継者として受け入れてもいいのかなとも思います。 今日までひたすら走り続けてきた人生でした。もう若くないので自分たちのペースでやって行けたらなと思います。夫婦2人でやっているお店ですので、至らぬ部分があるかもしれません。これからは無理することなく自然に任せてやっていきたいです。
住所:嬉野市嬉野町大字岩屋川内甲321
電話:0954-43-0511
営業時間:1平日)11:00〜14:00 17:30〜19:30 (土曜祝日)11:00〜14:00
休み:日曜日
駐車場:最大4台(大型車は入れないことがあります)