周辺にはうなぎを焼く香りが漂い、思わず立ち寄りそうに

ここはもともと外から見えるように焼いていたわけではなく、釣った魚や焼いた魚を行商人に渡して、外で販売してもらうというスタイルだったのです。駅のホームで駅弁を販売するような感じです。今のようにお客様との対面方式になったのは、平成に入りしばらくしてからです。道沿いからよく見えるので宣伝になるでしょう。宣伝といえば、あとは香りですかね。ウチは白焼きに時間をかけたあと、それをタレに10回以上潜らせて粘り気が出るまで焼くので、味がよく染み込み、芳醇な香りをもつ蒲焼ができるのです。だからお店に近づくにつれ、美味しい香りが漂っているのがわかると思います。
うちは個人で買いに来られる方もいらっしゃれば、周辺旅館からのご依頼もあります。ネットでも販売をしていますが、こちらは贈答用として求められるケースがほとんどです。ありがたいことに高評価の口コミをいただいています。県外からのお客さんも多く、皆さんわざわざ調べて足を運んでくださって、嬉しいことです。よく出るのは、やはりうなぎの蒲焼きです。あとはむつごろうの蒲焼、「昔ながらの味で安心感がある」と言われますね。

焼きの苦労から見えた、お母さんの凄さ

私は高校卒業後、3年間は長崎の佐世保で修行をしていました。学生時代は部活に打ち込んでいたので料理のことは全くわからず、毎日が本当に苦労の連続でした。修行から戻ってきてからは、母に焼き方を教わりました。最初は炭火の前に立ち続けることができなかったこともよく覚えています。とにかくものすごく熱くて一旦焼き場から離れるのですが、うなぎはどんどん焼けていくので、結局はまた入らないといけない訳です。特に夏場はサウナ以上の環境になります。先代である母は過酷な環境でやっていたのだと、思い知らされましたね。今でも気合を入れないとやられそうになります。うなぎは焼き一生と言いますが、あれは本当です。今では母の焼き方に似てきていると思っていますが、100%満足することは無いかなと、1日1日を勉強とし、これからも焼きについて追求していきます。
年月が進むにつれ、うなぎの仕入れも変化してきました。地元有明の天然物のうなぎにこだわっていましたが、今はなかなか獲れなくなったので、鹿児島と宮崎産を使用しています。その辺にたくさんのうなぎがいたのですけどね。仕入れるうなぎは、その時折の状況で判断していて、タイミングによって固いうなぎ、柔らかいうなぎがあるので、常に仕入れ元にうなぎの状態を確認しています。

今から楽しみ。息子さんのエピソード

このお店は、きっと息子が継いでくれるのかもしれません。そう思うのも、息子が通う小学校での運動会がきっかけです。そのイベントの一つに将来の夢の格好をして走る競技があったのですよ。その時息子は、峰松うなぎ屋のシャツを着て走ってくれました。これは本当に嬉しかったです。まだ小学生ですからね。将来はどうなるかわかりませんが、今は息子の気持ちを大切に受け取ろうと思います。

住所:鹿島市浜町甲4292
電話:0954-62-3725
営業時間:9:00〜18:00
休み:不定休/月曜が多い
駐車場:14台