苦労の連続でも、お客様の存在が力であり喜びでした
二代目であった父が他界した後、2年ほど修行をしてから私が三代目をとなりました。私自身全くの別の仕事をしていましたので、いろんなメニューや手捌きを覚えるのに必死でした。再開後は、なじみのお客様が戻って来てくれて、本当に嬉しかったです。しかし、その後も苦労は続きます。子どもの頃から手伝いをしていたとはいえ、先代からは何も学んでおらず、味の再現に頭を悩ませました。料理を作ってお客様に食べてもらい、フィードバックをもらって修正することの繰り返しでした。
調味料を掛け合わせたり、保管されていた伝票から材料の仕入れ元を訪ねたりと、とにかく先代の味をパズルのピースを揃えるように組み立てていきました。先代の味を知る、叔母からの情報も参考にしましたし、私が手伝いをしていた時期の先代の記憶も頼りにしていました。料理人としての船出はそのような感じでしたが、地元の方々の懐の深さに助けられて私の味も次第に認められていきました。
戦前から続くこだわりの味は、今でも人々を魅了する
今では先代の味を限りなく再現できていると思います。お客様の中には懐かしいと言って食べて下さる方も多く、当時の味を知る人たちが自分の子どもや孫まで連れて来られることも珍しくありません。こうやって昔ながらの料理が世代を超えて知れ渡っていくことがなんとも感慨深いです。佐賀へ帰省された方で、「昔馴染みの味が忘れられない。」と足を運んでくださる方もいらっしゃいます。
肥前浜駅の前にあるので、酒蔵通りに観光に来た人など、その流れで入って来られることも少なくないです。皆さんからよく頼まれるメニューは、カツ丼、ちゃんぽん、皿うどんでしょうか。人気メニューは早々に売り切れてしまうこともしばしばありますよ。数あるメニューの中で、この三つは金時食堂を語る上では外せない代表的な料理です。
後継者に関することは今のところ何も決めていません。
2年ほど前になりますが、体の不調で入院することがありました。ちょうどコロナ禍による緊急事態宣言と重なったため、謀らずともコロナの影響は最小限だったのかなと思います。
今は親族一丸でお店を支えており、最年長の叔母も現役。甥っ子も配膳や接客をしてくれています。後継者については、親族以外の方でも歓迎しますが、私の体調のこともありますので、なるべくなら飲食店の経験者の方が望ましいですね。それでも私の体が続く限りは、変わらぬ味を提供していくつもりです。これまで長きに渡り、戦前から支えてくださった皆様には感謝です。
住所:鹿島市浜町931-2
電話:0954-63-2815
営業時間:(月)11:30〜15:00 (木)17:00〜21:00 (金土日)11:30〜15:00/17:00〜21:00
休み:火曜日・水曜日
駐車場:4台