職人気質の先代は、手取り足取り教えてはくれなかった
店名や昔から作っている赤門饅寿の由来は、鹿島城跡地にある赤門から先代がつけました。私は子どもの頃からお店の手伝いをしていましたが、そのまま店を継いだわけではなく、一旦東京の大学へ進学しました。学生時代は柔道に夢中でして、過去にあった佐賀国体で優勝したのですよ。大学卒業後は佐賀に戻り、ライフワークの柔道をしながら先代と一緒にお店を運営していました。先代は職人気質の人だったのでお菓子作りを手取り足取り教えてくれる訳でもなく、当時もう一人いた職人さんに要所で教えてもらっていました。子どもの頃に手伝っていた記憶と、もともと手先が器用であったので、技術を習得するのにそう時間は掛からなかったと思います。ちなみに店内や店外のポップや、一部の看板は全て私が作りました。
丸ぼうろを愛するがあまり、『BOLO 愛』とロゴを入れた帽子もついつい作ったくらいです。根っからの凝り性なので、それが仕事に役立っていて、時間を忘れて作り続けてしまいます。最近は丸ぼうろの歴史を知っていただくために、地元の高校生と協力して丸ぼうろについての絵本を制作したり、丸ぼうろの自作セットなんかも販売しています。自作セットをお土産に買われていく方が多いですね。
日本酒の製造が盛んな鹿島らしい兄弟ぼうろ
作り手の気持ちがお菓子に現れるので、常日頃、ひたすら美味しいお菓子を提供するという気持ち、お客様のニーズを汲み取っていくことを大切にしています。現代は環境の移り変わりが本当に早いので、そういった変化にアンテナを張り巡らせて、神経を研ぎ澄ましながら新しいことに挑戦しています。健康的な生活が叫ばれる今、過剰に精製された材料は使わず素材そのものの栄養をなるべく生かすことも、お菓子を作る上で意識しています。それらを踏まえて地域活性化を考えたときに、日本酒の製造が盛んな鹿島らしい、発酵食品を使ったお菓子を作ろうと思いつきました。それがうちを代表するお菓子、兄弟ぼうろです。出だしは緩やかな動きでしたが、その後のパッケージ変更で広く知れ渡ることとなり、発酵食品を使用していることで健康志向のお客様からも強い支持をいただくことになりました。ピーク時は生活リズムが変わるレベルで日夜、兄弟ぼうろを作っていました。
それはもうきつかったですが、それよりも自分で企画した商品が多くのお客様に味わっていただけることが心の底から嬉しかったですね。今でも兄弟ぼうろは当店の看板商品として人気を集めています。実はこれからも新商品が出る予定です。もしかしたら皆様が知っているお店に並ぶ日が来るかもしれません。
自分がやりたいことを見つけることが大事
残念ながら家族に後継者はおりません。強い気持ちがある方でしたら、第三者の方も歓迎します。日頃からお菓子に興味を持っていただくために講演会などの活動もしております。そういったところからお菓子作りに興味をもってくださる方がいらっしゃればいいなと思っています。若い子たちは何よりもまず、自分がやりたいことを見つけることが大事だと思います。自分のやりたいことを探している中で、お菓子作りの道を歩まれる方がいらっしゃれば、そこから赤門堂に興味を持ってくだされば嬉しいです。
住所:鹿島市高津原4305-6
電話:0954-62-3446
営業時間:9:00~19:00
休み:水曜日
駐車場:お店の前に2台