高橋さんは、音楽家の顔を持つ異色オーナー

創業当時は両親がリヤカーにお菓子やアイスを載せて販売していたようですが、私が物心ついた時はすでに店舗を構えていました。たくさんのお菓子やおもちゃに囲まれて育ちましたが、もともと音楽に興味があったため音楽学校へ進学しました。卒業後、お店のバックヤードでピアノ教室をしたり、出張で教えに行ったりする傍ら、お店の手伝いをしていましが、父が亡くなったのをきっかけにそのまま自然とお店を引き継ぐことになりました。当時は私に商売の感覚がなく、様々な面で苦労してきた記憶があります。
特にその頃は会計が苦手で、会計士さんに迷惑かけていました。とにかく一つ一つをこなしていくのに精一杯でした。時代の変化に伴い小売店や仕入れ元がだんだんと減ってきています。この2年、花火大会や各種イベントの中止が相次いでしまったために需要が落ちていると感じています。そんな中でもお気に入りのお菓子をまとめ買いされたり、害獣よけの花火をたくさん購入される方もいらっしゃるので、その方たちの為にもできる限り店を続けていきたいと思っています。

長い年月をかけて構成された、ノスタルジックな空気感

長いことお店をしていると、レジスターや棚がとても古くなってきましたが、今でも現役で使っています。実際に私もいつから使っていたかわからないもの、使い方がわからないものもあったりしますね。来られたお客様が物珍しそうにお店の備品を見たり、この建物の構造を真剣に見たりと、反応が面白いです。また、過去に扱っていた商品を店内に飾っているのですが、大きな凧などはなかなか見る機会がないのでしょう。若い方が「これはなんですか?」と聞いてくることもあります。
お店の中でのんびりとくつろぐ看板猫の様子を地元の小学生たちが覗きに来たり、保護者会のイベントをするために買い出しの担当になった方が、この店を思い出して久しぶりに来たり、いろいろな出会いがあります。事業者の方だけでなく個人で購入する方もいるのですが、駄菓子を購入することはどこのお店でもできますが、大人買いは卸をしているウチぐらいじゃないとできません。実は、あるお客様のためだけに仕入れているお菓子もあったりします。人気のお菓子は、うまい棒、スズメの卵、カルパスあたりです。

こんな職種だけに、なかなかお勧めしづらいのが本音です。

後継者は現在おりません。建物の老朽化が進み、また卸業なので利益率も低いのですが、それでもと良いのであれば、第三者による後継者は喜んで受け入れようと思っています。こういったお仕事が好きな人やアイデア次第によっては、きっとこのお店を維持できると思います。ご利用いただく方達のために、卸問屋の形は守って下さると嬉しいです。後世に残したいお店に選んでいただけるとは思いもよりませんでしたが、とても喜ばしいことですね。

住所:佐賀市駅南本町5-11
電話:0952-23-4825
営業時間:8:00〜16:30
休み:日曜日・祝日
駐車場:1台