トランペット奏者から、あんこ屋の道へ

店の名前の由来は、先代が若い頃に結成していた団体名と、先代の名前である一郎で組み合わせたみたいです。先代は無声映画の弁士をした後に、あんこ屋さんになりました。なかなか大胆な切り替えですね。そんな私も、もともと東京でトランペット奏者をしていましたが、先代の娘さんであった妻と結婚したことを機に、昭和44年から2代目として継ぐことになりました。全くの異業種からあんこ屋の道をたどっていることに不思議な縁を感じます。先代と一緒に働いている間はほとんど教えてもらうことはなかったです。とにかく現場に出て、実務で経験を積ませてもらえたので、今思えば先代なりの教え方だったのだなぁと。
そうは言ってもやはり全く経験のない状態で入ってきたので、先代の作っている様子を見て盗んだり、味に関しても自分の勘と舌に頼って手探りでメニューをものにしていったりと、とにかく必死でした。うちの店の特徴として、内装が以前お店のあった場所からそのままの形で移植しています。そのため今でも当時の様子を多分に見られる作りとなっています。かなり昔のカルピスの手彫りの看板などは今では全国どこを探してもなかなか見られないものです。

レトロなメニューだから、若い人たちには新しく映る

主役の小豆は北海道の大納言を使用しています。昔ながらの味を維持することに努めています。 その甲斐もあってか親子3代続けてお店をご利用頂いている方もいらっしゃいます。おじいちゃんやおばあちゃんがお孫さんを連れてくる光景は見ていて嬉しくなります。また、昔ながらの甘味が食べられるとの噂を聞きつけた県外のお客様もよく来られます。それと、最近は若い人たちの来店が目立ってきました。みなさん思い思いに注文したものを撮られてインターネットに載せているみたいなので、宣伝になってありがたいですよ。こういったレトロなメニューが若い人たちには新しく映るのでしょう。人気メニューは穀物の粟とこしあんを組み合わせた、あわぜんです。西日本ではかなり珍しい甘味でして、一度食べた方がその後もハマって食べに来られることも多いですね。
ひょんなことからテレビ番組で紹介され、全国発送の対応するまでに至りました。ある芸能人も気にいってくださり、たびたびに事務所に発送しております。今も毎日のように全国へあわぜんを発送しています。

弛まず昔ながらの和の甘味を作り続けていく

今はまだ後継者については考えておりません。一生現役を貫く気でおりますが、いずれ息子と娘に話をする時が来ると思います。その時にどうなるかについてはまだまだ分かりませんね。一人でも多くの皆様に、本当においしい和の味をぜひ知ってもらいたいと思います。そのためにも弛まず昔ながらの甘味を作り続けていきます。皆様のご来店をお待ちしております。

住所:佐賀県佐賀市白山1丁目2-20
電話:0952-25-0535
営業時間:11:30~17:30
休み:不定休
駐車場:なし(近隣に有料駐車場あり)