商売を通して縁のありがたさを実感

創業してから100年を目前に控えている現在、私が4代目になります。継いだのは3代目の急逝によるもので、20歳の頃でしたね。当時は大学に行っていたので、通いながら店をしておりました。妹も学生、母は無理のできない体でしたので、私がやらなければという気持ちでした。20代は手探り状態でとてもきつかったです。30歳を超える頃、バブル経済により商売は軌道に乗り、自分はこれでやっていくのだと決心した時期でもありました。目標であった法人化を達成したのもこの頃で、とても嬉しかったですね。
本当にいろんな人達にお世話になりました。その後、バブルの崩壊による長期的な不況と、今も続く新型コロナウイルス感染症の影響が少なからずありますが、仲間や取引先の方々と助け合いながら、日々の商売をこなしております。周りの人たちの温かさに感謝ですね。

天然水の氷だからこその美点と、氷から見える世界

ウチは天然水で作られた氷にこだわっていて、鹿島、大村、新潟で作られた氷を扱っています。一時期は埼玉県にある天然のプールで自然に作られた氷を扱っていましたが、温暖化の影響で数が取れず、今では見ることができなくなったのが残念ですね。天然水の氷は一般的に作られている氷よりも溶けづらく美しいです。そのため、佐賀市内のバーテンダーや飲み屋さんだけでなく、福岡などの県外からもウチの氷を求められます。天然水の氷というブランドが、それを使用しているお店の良いイメージにつながっているようです。余談ですが、溶けづらい氷は氷彫刻にも使われます。つまりはそれほどのクオリティであるということですね。ところで氷と聞くと夏場がピークと思われがちですが、それは一昔前のこと。ここ最近は、ゴールデンウィークと10月に氷の需要があります。これは最近の気候が関係していて、夏場は暑くなりすぎて人の動きが実は鈍い。
逆にほんのり暑い5月と10月あたりが人の動きがあって、それに伴い需要も増えるわけです。特にゴールデンウィークの週は、一昔前の夏と同じぐらいの需要があります。ウチは氷の他に、お弁当屋もしています。お弁当は13時ぐらいまでが忙しさのピークで、そのあとは氷の注文がほとんどを占めます。飲食店が夜の準備をするからです。氷の動きは人の動き、世間を知る面白い情報元なのですよ。

まずは創業100周年を迎えることが目標

後継者は、残念ながらいないのです。もちろん親族以外の方が望まれて、来ていただく分には歓迎いたします。4代続いたことは我ながら凄いことだと思います。基本的に商売というのは一代限りで終わることがほとんどだと思うのですよ。実際に商売を始めて5年後に残っている確率は15%といわれていますから。今のところ4代目である私の体が動くうちは、目の前のことをやれるところまでやってやろうという気持ちです。そして創業100周年を迎える2年後、私が65歳になったら後継者をどうしていこうか考えようと思います。

住所:佐賀市中の小路3-1
電話:0952-23-2679
営業時間:早朝〜21:00(要問い合わせ)
休み:日曜 5月〜10月は日曜祭日も午前中だけ営業
駐車場:3台