神埼の新たな名物になった『ひしぼうろ』

現在私で3代目です。もともとは全くの別の畑で働いていたのですが、仕事を辞めたことがきっかけで、ちょっとやってみようかといった軽い気持ちでこの店へ戻ってきました。それまでお菓子作りをしたことがなかったので、38歳にして一からの修行でしたね。その2年後に代替えになりましたが、それでもまだ修行は続いていました。今の時代に和菓子というのはなかなか需要の掘り起こしが難しく、戻ってきてからの4〜5年はとても厳しい時期でした。それに加え先代も昔の人なので、手取り足取りお菓子作りを教えてくれるわけではなく、とにかく見て覚えろといった感じで、とても苦労したことを覚えています。転機が訪れたのは10年ほど前、産学官連携で新しい商品を開発する計画のもと、私が「ひしぼうろ」を考案しました。これが非常に人気になりまして、神埼の特産品であるヒシの実を使ったことで地域を代表するお菓子になりました。
お土産としても買われていく方が多いですね。2年ほど前に店の改装を行いまして、売り場もきれいになっています。近所の方々がふらっと立ち寄ってくださいますし、子どもたちが来てくれることが何より微笑ましくて、子どもは駄菓子を買っていきそうなイメージですが、ウチに来てお気に入りのおまんじゅうやラスクなんかを買っていく姿を見るととてもうれしくなります。中にはよほど気に入ったのか、同じおまんじゅうを買っていく小学生もいますよ。

お菓子を通じて笑顔と健康を

私たちが作っているお菓子は全て無添加です。材料も国内製造にこだわり、自分が作るお菓子に合うものを基準としています。ひしぼうろに使われているヒシの実にはポリフェノールが多量に含まれているので、体に気をつかう方にも好評をいただいています。それもあってか神埼の小中学校ではウチのひしぼうろが給食で出ています。高校にもお菓子作りを教えに行っていまして、教え子が2度全国大会に行った事は本当に嬉しかったです。
若い人たちに自分のお菓子作りを伝えることができ、そしてそれを楽しそうに聞いてくれる様子はグッとくるものがありますね。広告を出して宣伝するよりも、世代を超えて体験してくれることの方が何よりも大切なことだと思います。

これからは、地域への恩返しのために

まだ後継者を考える段階にありませんが、もしかしたら孫がやってくれるかもしれないですね。まぁ、まだわかりません。自分が辞めるときに、もし誰かがやりたいって方がいらっしゃれば、それでもいいかなと思います。今は、これまでこの店を支えてくれた神埼の皆さんに恩返しをする時期に来ていると思います。
母子家庭などを対象にした食糧支援施策として、私たちが備蓄している食糧を提供させていただいています。最近ではコロナ禍によってアルコールやマスクが不足になったときに、私たちが持っていたものを市に提供しました。これらの行動は、心から感謝の気持ちでさせていただいているものなので、今後も私たちにできる事はやっていこうと思っています。

住所:神埼市神埼町本堀2569-3
電話:0952-52-2888
営業時間:8:30〜18:30
休み:不定休
駐車場:3台