時代を超えて割烹の文化を守る、長年の経験に裏打ちされたお店
こんな場所にこういった料理屋があるとは思わなかったと、皆様口々に言われますね。 もともとは筑後川近くに店を構えていたのですが、河川工事をきっかけに1965年現在の場所にお店を構えました。もともとのお店の建築資材をそのまま使っている部分もございます。ちなみに中庭を見渡せるガラス戸は、 当時のガラス製品であるギヤマン使っています。今ではもう手に入れることができない完全に手作りされたガラスですね。何度か改築をしてきていますが、昭和に設計された部屋、平成に設計された部屋、それぞれに趣と当時の特徴が出ています。今でこそこういった形で好きなようにやらせていただいていますが、私の修行時代は本当に大変なものでした。
住み込みで大阪にある辻調理師専門学校に行きました。そこではとにかく上下関係がすごく、当時は様々な面で理不尽なことで苦労することが多かったですね。 それでも1つ思うことが、そのまま大阪で就職しておけば実は楽だったかもしれないなと。しかしながら人生とは成り行きです。辛いことがあっても、一瞬喜ばしいことがあれば幸せです。
料理については、ふぐを使ったものが人気です。ふぐ料理は調理工程が多く、少しの失敗で身がやぶけてしまうこともあります。手の込んだ作業がありますので腱鞘炎になることもしばしば。 神経を研ぎ澄ましながら丁寧にさばいていくと、刺身にした状態でも身が少し動いているのがわかります。
あと、ふぐってこんなに惚けた顔をしていますけども、貝を砕くほど顎の力がつよいのです。私も噛まれて痛い目に遭いました。
とにかくいろんなことを乗り越えてふぐ料理と言うものは成り立っていますね。
一度変更されていたお店の名前を再び戻し、初代の思いに敬意を込める。
魚喜の語源は、シンプルに言うとお客様にも喜んでいただきたいことからです。お客様にはせっかくお金を出していただくのだから、楽しんで笑顔で帰っていただきたいじゃないですか。そうすれば食材になった魚も浮かばれる。 その理念を胸に、手間ひまかけて料理を作っております。
創業時からの店名ですが、いちど途中で違う店名になったことがあります。私はそれを知らなかったのですが、ある時、古い備品からもともとの店名を知ることとなり、初代の考えをリスペクトする意味でも、店名を元に戻しました。
うちのメニューに明確な決まりはなく、その季節に合った食材を使い、定食やコースとして提供しております。
季節の命に感謝し、無駄なく使い、美味しく提供する。これが魚喜の使命だと思っています。
後継者ができたら移動販売方式のカレーショップを開きたい
いずれ息子には話さないといけないなとは思っておりますが、息子も同じ調理師専門学校へ行き、そのまま大阪で和食に関わる仕事をしています。息子なりの人生や生活もあるので強制できることでもありませんがね。私もこの仕事で腹を決めるのに時間と覚悟が必要でしたから。
ウチの理念を理解してくださる方であれば、第三者の方でもきっとやっていけるでしょう。古きものは淘汰されてなくなりますが、姿かたちを変え生き残るものもございます。 こういった田舎の土地では難しいかもしれませんが、 割烹と言うものが文化として残っていけば本望です。県民の皆様に推薦していただいたことで、この店は残っていたほうがいいのかなと改めて思わされました。本当にありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。
代替えができたら妻と一緒に移動販売方式のカレーショップをしたいですね。すでに私の頭の中ではおおよそのプランは出来上がっているので、早く実現したいです。
住所:神埼市千代田町渡瀬2212-3
電話:0952-44-2142
営業時間:10:00~22:00
休み:不定休
駐車場:30台