時代を超え、現代に受け継がれる職人芸。日本有数の麦わら帽子工房
創業は大正9年。祖父が麦わら帽子専門の工房を開設し、父がそのあとを継ぎ、1979年頃にスポーツ用品店を開業しました。私は小学生の時から麦わら帽子の針仕事や型入れの手伝いをしていましたが、大阪の学校へ進学して、卒業後は大阪に残り、スポーツ用品店に就職しました。25歳の時に自分の考え・親の意向が合致し、家業を継ぐことを決意し、佐賀に戻り麦わら帽子職人の修行をスタートしました。麦わら帽子を縫っていくのは感覚だよりのところもあり、見るのとやるのとでは大違いで多くの苦労をしましたが、父から厳しく教えてもらい、店を引き継ぎました。
手作りの麦わら帽子は海外製の安価なものにおされて厳しい時もあり、現在では佐賀で唯一、全国でも数件となった麦わら帽子の工房です。最近ではインターネットや、飛行機の座席のパンフレットをご覧になった方がご来店されることもあります。昨年夏にお店をリニューアルして、今までは工房にだけ置いていたミシンを店内にも置いています。
懐かしい麦わら帽子を求め県外からも多数ご来店いただいています。
「麦稈(ばっかん)真田編み」と呼ばれる麦を編んだ紐を手作業で縫製し、金属の特別な型に熱を加えてプレス、最後に滑り止めの中布やリボン等を装飾しようやく完成と、手仕事で作っています。多くの方に手作りならではの良さを感じてもらえるように、農作業用の実用的な麦わら帽子やシンプルでおしゃれな麦わら帽子、地元に特化した麦わら帽子を作ったり、リボンや装飾を佐賀や九州の方に好まれるようなデザインを心がけて制作しています。麦わら帽子の販売は、春ごろから夏にかけて行なっており、県外の方にも目にしてもらいたくSAGAMADOや佐賀空港でも販売しています。
ご来店いただければ、麦わら帽子のカスタムオーダーも受け付けています。また併設のスポーツ用品店では、体操服のゼッケンネーム入れ(名前書入れ1文字150円、ゼッケン縫い付け200円)も行なっています。お忙しい保護者の方々にご好評いただいています。さらに、テニス・バドミントンラケット等のガット張替や、ノルディックウォークのインストラクト、あなたに合ったポールや靴をお探しいたします。
後世に残したいが、原料の仕入れの不安も。
当店を後世に残したいと思ってくださるお客様がおられるということを聞いて、とても嬉しかったです。もちろん長く続けていきたいと思っておりますが、麦わら帽子の原料となる麦紐は以前は岡山県をはじめとして多くありましたが、現在は国産の麦わらがなく、海外の麦わらでつくられた麦紐を使用しています。しかし、ここ数年は原料が手に入りにくくなっています。さらに世界の産業も変わってきており、10年~20年後にどうなるかわからないのが現状で、業界全体が心配しています。
そのため後継者についてはまだ考えておらず、息子が2人おりますが話はまだしていません。地元の農家さん等から「毎日使うので、森山さんのじゃないといかん」と言ってもらえるので、こだわりの製法を守りながら、技術をさらに磨き、時代やニーズに合わせた麦わら帽子を作り続けていきたいと思っております。
住所:佐賀県小城市牛津町牛津816
電話:0952-66-0177
営業時間:9:00~19:00
休み:第3日曜日
駐車場:普通車1台