子や孫へと代々受け継がれた店を夫婦二人三脚で営業

もともと旅館を営んでいた祖父が食事処を始め、父から兄、私と代々受け継いできた食事処です。現在の店舗は約40年前に建てられました。子どもの頃から家業の手伝いをしていた私は、学校卒業後も家族と一緒に働き、私が店主になってからは夫がサラリーマンを辞め、手伝ってくれています。屋号は祖父の代の「三勇士」から父が「山遊志」、そして兄が「さんゆうし」と読みはそのままに変更。戦時中に称えられた九州出身の三人の勇士のうち、一人が大町町にゆかりある方だったことで名付けられたようです。
当店は旧長崎街道沿いの商店街内にあります。今は国道ができて奥まっていますが、大町町にかつて炭鉱があった時代は、三交代制だったため、この辺りも朝から晩までとてもにぎわっていました。祭りの日には、当店のすぐそばの「八幡さま(福母八幡宮)」まで、通り一帯に露店がびっしりと並んでいたほどです。
定食や丼もののほか、日替わり弁当や仕出しのご注文にも対応。2階の広間での宴会も承ってきました。現在は、比較的ゆったりと営業しています。

野菜たっぷりのちゃんぽんやたろめん、それぞれの味の固定ファンも多数

私自身、野菜が好きで、食べることも好きなので、「ちゃんぽん」(650円)など、具材たっぷりを心がけて作り、喜んでいただいています。
大町町の取り組みで当店も復活に協力した「大町たろめん」(650円)は、牛骨スープにしょうがを効かせ、ツルツルとした細うどんがよく合う一杯。「食べてみたい」と町外からわざわざ足を運んでくださる方も増えています。私は、途絶える前の味を知っていて、自分でもよく食べに出かけていたため、当時の味をイメージし、試行錯誤しながら再現しました。昔の味を知る方からは、懐かしいと言ってもらえます。ただ、昔のたろめんは小どんぶりで今のように野菜が多くなく、脂も濃かったと記憶しています。当店のサイズは当時の大盛りくらいですね。卓上の鷹の爪を加えたり、残ったスープにご飯を入れたりしてもおいしいですよ。
よくご注文いただく「皿うどん」(650円)は、麺を一度焼いて作るあんかけタイプ。これが当たり前だと思っていましたが、そうではないようです。また、丼ものでは大きめのカツをのせた「カツ丼」(700円)が人気。それぞれのメニューに固定ファンがいらっしゃいます。

奥まった立地だからこそコミュニケーションを大事に。ゆっくりと広がるお客様の輪

幼い頃からここで育ち、愛着もある当店を守り続けてきました。ただ、飲食店の経営には大きな負担があるのも事実で、子どもたちにも残すのは気の毒だという気持ちです。私たちができるところまで、続けていきたいと思っています。店内が満席になるということは少なく、その分、お客様にはメニューの説明などの接客やコミュニケーションを大切にし、次も来ていただけるような工夫をしています。当店をご存知の方や、紹介などでのご来店が中心ですが、ぜひ「さんゆうし」を忘れずに来てください。

住所:大町町福母417
電話:0952-82-2108
営業時間:12:00~18:30(夕方から夜にかけては電話があれば開店)
休み:月曜
駐車場:あり