店主の目利きで仕入れるこだわりの味を求めて、人が集まる

末次 弘さん(74)

叔母が営む焼鳥店で20歳くらいの頃から働き、自分の店を持ちたいと思うようになりました。独立したのは1974年、僕が27歳の時。最初の店舗は松原4丁目で、5席ほどの小さな店でした。それから中央本町の店舗を経て、1998年頃から現在の店舗で営業しています。
創業したばかりでまだお客さんが少ない頃は大変でしたが、人が人を呼んでくれて、徐々にたくさん来てもらえるようになりました。大々的に宣伝したことはありませんが、やっぱり佐賀は口コミが強いですね。今では昔からの常連さんも多くて、親子三代で来てくれている方もいます。
創業時からこだわっているのは、とにかくおいしいネタを提供すること。そのために、仕入れは必ずお肉屋さんや魚屋さんに自ら足を運び、自分の目で見て行っています。目利きは叔母の店の時に、板前さんに付いていって学びました。
今はあらかじめ串に刺した食材も売っていますが、うちは全て僕が刺しています。常時提供しているメニューは「キモ」「ズリ」「つくね」などの鶏肉類、「アナゴ」「エビ」「イカ」などの魚介類、豚肉や野菜など。その他に、春は「アゲマキ」(有明海で採れる二枚貝アゲマキガイのこと)、冬は「貝柱」など季節の食材を提供しています。
僕は、常連さん一人ひとりがよく注文するもの、何をタレで食べて何を塩で食べるか、好きな塩加減まで、全て覚えています。何年も来ていなかった人も、遠方からときどき来る人も。常連さんのおかげで続けられている店です。

希少な生タンの塩焼き、常連客の口コミで伝わる焼き飯が人気

末次 弘さん(74)

常連さんに人気の串焼きは「生タン塩焼き」。串焼きの店を開くにあたり各地を食べ歩いて研究していた時に出会い「これはおいしい!」と思って取り入れました。メニュー表にもタンが載っていますが、これは生ではないので、生タンはいわゆる裏メニューということになります。希少なお肉なんですよ。
それからもう一つ、常連さんがほとんどと言っていいほど食べていくのが「焼き飯」。叔母の店で出していたものを見て盗んで、僕流にアレンジした味です。詳しくは秘密ですが(笑)、油のことなどいろいろ勉強しましてね。材料は普通ですが、焼き方にこだわって、よそにはないような焼き飯になっています。中華料理の有名なシェフが来て食べてくれたこともありますよ。これも裏メニューですが、お客さんの口伝えで知っていただいているようです。時間がかかるから、混んでいる時は作れないのですけどね。

一本一本真心込めて作ることの大切さを理解してくれる人に

末次 弘さん(74)

後継者ですか……以前は従業員もいましたし、うちで働いた後に独立した人もいますけれどね。甥が手伝ってくれた時期もありましたが、継ぐという話にまではなりませんでした。後継ぎになりたいという人もいましたが「せからしか(うっとうしい)」と断ったりしていました(笑)
一代で終わるつもりですが、もしもよい出会いがあれば、継ぐことを考えられるのかもしれません。どんな人がよいかって? やっぱり真面目で、一所懸命やってくれる人。経験者よりも、まだ何も知らない人のほうが教え甲斐がありますね。
僕が大切にしているのは、一本一本、真心を込めて作ること。本当においしいものを提供するためには、絶対に欠かせないことです。それを理解して付いてきてくれる人がいいですね。中途半端ではダメですよ。僕、厳しいからね、優しいところもあるけれど(笑)、でも、本気で店をやるからには、厳しさも必要でしょう。
それから、愛想のよさも大切です。もし誰かがこの店を継ぐことがあるとしたら、やっぱり繁盛してほしい。そのためには、愛想よく、雰囲気よく、お客さんが来たいと思う店であり続けなければいけません。味に関しては、時代に合わせて新しいアイデアを出し、やりたいようにやってくれたらいい。ただ、根底にある「真心を込めて」は、変わらず大切にしてもらいたいですね。

住所:佐賀市松原2-13-20
電話:0952-26-9281
営業時間:18:00~23:00
休み:日曜、祝祭日
駐車場:なし
店主:末次 弘さん(74歳)
創業年:1974年
推薦者のおすすめメニュー:焼き飯(スープ付き、1,320円)
お店の人気メニュー:生タン塩焼き(770円)