中華料理 晋福

この道50年の店主が営む中華料理店 名物「皿うどん」の比類なきこだわり

18歳で中華料理店へ就職。各地の名店からオファーが来る料理人へ

鹿児島で生まれ育ち、18歳で名古屋の都ホテル「近鉄四川飯店」に就職。6年ほど勤めた後、西日本各地の四川系レストランで経験を積みました。そんな折、佐賀市呉服町にあった本格中華料理店「開花園」に料理人が足りないから手伝って欲しいと知人から頼まれまして。それから佐賀で暮らし始めることになったわけです。

「開花園」には、社長に気に入られたこともあって、10年ほど勤めました。その間もさまざまな店からオファーをいただきましたが、料理人として20年経ち、そろそろ独立を考えていた頃で。地元の鹿児島に戻りたい気持ちがあったものの、既に結婚し、子どもたちは学校に通っていたため、佐賀で店を出そうと決意しました。

オープン当初は、とにかく料理の腕をふるいたくて。今より景気も良かったので、高級食材を仕入れて、コース料理を提供することも多かったです。しかしながら、接待などを除いて、やっぱり喜ばれるのは、麺やご飯もの、定食で。お客さんの要望に応えていくうちに、大衆的な中華料理が主体になっていきました。

中華の技法を活かすからこその、うま味、食感、独自性

本来の中華料理に皿うどんやちゃんぽんはありませんが、佐賀の人にとってはテッパンですよね。私自身、九州に帰ってきて、初めて学んだメニューでもあります。うちの皿うどんは、毎朝仕込んでいる鶏の中骨から引いた一番ダシをベースに、味付けは醤油だけ。あっさりとしているものの、しっかりとうま味を出すには、中華ならではの細かい技術が必要です。一見、シンプルな料理に見えますが、麺は油に通す、両面を焼き付けるなど、コクや食感が増すような工夫を凝らしています。好みによって、ソースをかけたり、酢醤油をかけたり、そのまま食べたり。お客さんは、それぞれの楽しみ方があるようです。

佐賀にもいろいろな皿うどんがありますし、皆さんそれぞれに工夫されていると思いますが、私は私で「うちの皿うどんが一番!」と思って作っています。 昨今は、目新しいもの、変わったものが好まれる風潮があるけれど、同じ味を守り続けていくことも大切ではないでしょうか。そこには、懐かしさや想い出があって。帰省するたびに「やっとこの皿うどんが食べられた!」と、喜んでいるお客さんを見ていると、この味を変えちゃいけないなという思いが強くなります。

体が元気なうちは店を続けたい。そして、できることならこの味を継承したい。

息子が2人いますが、会社勤めをしているので、一代で終わりになるかもしれません。これまでの30年間、「修業させて欲しい」という申し出をお断りしたこともありました。今になって、弟子や後継者をつくっておけばよかったと思っています。

もし、後継者になりたいという人が現れたらですか? そんな人がいらっしゃれば、ぜひ引き継いで欲しい気持ちはあります。調理の経験があれば、中華のやり方は教えられますから、料理のジャンルや年数は問いません。

今年で70歳になりますが、これまで店を続けてこられたのはやっぱりお客さんのおかげ。創業時から通ってくれている常連さんも多く、いつも「まだまだ店を続けてね」「食べにいくところがなくなって困るよ」と励ましてくれて。足腰にガタはきていますが、体が元気なうちは料理を作り続けたいです。

■DATA

店名:中華料理 晋福
店主:新福 信夫さん(70)
住所:佐賀市八戸溝1-10-25
電話:0952-30-5618
営業時間:11:30~14:00(テイクアウトのみ~17:00)
休み:月曜
駐車場:あり